研究課題
本研究の3年間の成果は、住民参加によって地域環境保全に取り組んでいる諸事例の比較に基づき、それらの組織現象としての把握のための枠組みを提示したことである。主要な論点は以下の3つである。(1)住民参加による地域環境保全について、「集落基盤型」「組織新設型」「ワークショップ型」の3類型、また、地域自治会レベルの類型として、自治会型組織によるテーマ型組織の「包摂型」「交叉型」「並立型」の3類型を構成し、各々の事例研究を進めた。(2)地域環境ボランティア参加を第1段階の参加と第2段階の参加に区分し、段階ごとの活動への参加を規定する要因を明らかにした。(3)住民参加と地域環境ボランティアの関係形成を記述する分析軸として「自立/連携」が有効であることを示した。滋賀県、横浜市、京都市の事例の相互比較により、住民と行政、既存の伝統的な地域住民組織とボランティア型組織が、相互の緊張関係をのりこえて「自立と提携の両立」を成し遂げたプロセスを解明し、また、住民参加の現場における「有志の尊重」の制度設計と組織的課題に関して、抽出・記述・解釈のための枠組みを示すことができた。中心的事例であるの滋賀県守山市の「豊穣の郷赤野井湾流域協議会」は、2004年9月に特定非営利活動法人の認証を受け、「NPO法人びわこ豊穣の郷」としてさらに活動を展開中である。調査研究の継続によって今後も研究成果が期待される。
すべて 2005
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科研費研究成果報告書
ページ: 127
社会的コントロールの現在(宝月誠, 進藤雄三編)(世界思想社)
ページ: 366-380