研究概要 |
今年度の当該研究班は,3年計画の本研究事業を効率的に運営するため,以下の2つの課題を設定した. (1)高齢者の施設適応への促進要因と阻害要因の整理 医療・心理・福祉の領域から,学問領域にかかわらず文献を収集し,当該課題における先行研究の知見の整理を試みた.いわゆる専門領域の違いにより,各先行研究での視点のずれが大きいが,当該研究班は以下のように,要因の整理を行った.(1)高齢者の入所前の生活様式や心身の健康状態の影響,(2)当事者の意志決定の許容度,(3)施設職員を含む施設内の対人関係,(1)施設職員の法的・制度的位置づけの未整備と支援不足.むろん,これら以外にも,高齢者の施設適応へ影響する要因は多いが,当該研究班では今後,上記の問題を中心に研究課題の達成を図ることにする.この件に関しては,平成14年県立広島女子大学生活科学部紀要で,「高齢者の介護施設適応への援助計画の検討〜最適な施設サービス作成に向けて〜(歌田朱実・金子努 著)」で詳述している.また,制度的な問題の一案として,身体状態と介護保険の関係もまた検討した. (2)入所施設サービスと在宅介護サービスの比較 脱施設化が国の方針として明示されて以来,入所施設の行政整備と同時に在宅医療・在宅介護のあり方が検討され始めている.しかし,在宅医療・在宅介護が入所施設サービスにくらべ,どのような利点をもち,どのように有用なのか,実のところ十分な検討がなされていない.当該研究班は,入所施設の機能を明確化させるためにも,在宅での福祉・医療のあり方を検討することも考えている.そのため,高齢者と同様の課題を有している知的障害者への生活支援のあり方を検討することで,高齢者の生活支援のあり方をあらためて統合的に考察することも今後の課題である.
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