研究課題/領域番号 |
14510206
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研究機関 | 県立広島女子大学 |
研究代表者 |
金子 努 県立広島女子大学, 生活科学部, 助教授 (70316131)
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研究分担者 |
細羽 竜也 県立広島女子大学, 生活科学部, 助手 (40336912)
中谷 隆 県立広島女子大学, 生活科学部, 教授 (40155875)
加茂 陽 県立広島女子大学, 生活科学部, 教授 (30099676)
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キーワード | 高齢者 / 施設入所 / ストレス / 意思決定 / 在宅介護 / 生活支援 / スクリーニング / 共同作業 |
研究概要 |
平成15年度は、3年間の本研究事業の中間年にあたるとして、次の課題を設定した。 (1)措置から契約への転換に伴う影響をリスクマネジメントの観点から整理 介護保険制度施行、さらには平成15年4月からの支援費制度開始により、措置制度に基づく施設運営から契約を基本とした仕組みへと大きく転換させられてきている。こうした動きに伴い、従来行政責任とされていたものが消費契約に基づくサービス提供へとその姿を換え、責任の所在も契約関係にある当事者間に問われるようになってきている。施設サービス計画はいわば契約内容に含まれる重要なものであるが、リスクマネジメントの観点から論じた施設サービス計画作成については、ほとんど先行業績がないのが実情である。 そこで、今年度は、リスクマネジメントについての各事業所の意識やその取り組み状況を把握すると共に、リスクマネジメントの推進において施設サービス計画がどのような役割を果たすかについて検討した。これについては、「高齢者の介護施設適応への援助計画の検討〜リスクマネジメントの観点から〜」『県立広島女子大学生活科学部紀要第9号』にその調査研究した成果をまとめ報告した。 (2)ケアマネジメント先進国イギリスの実態把握と日本との比較検討 イギリスは1990年のNHS・コミュニティケア改革においてケアマネジメントを制度として導入し、利用者の地域生活支援を積極的に取り組み成果を上げている。一方、日本においても介護保険制度施行を受け、ケアマネジメントを導入し4年が経過しようとしているが、目標であった在宅ケアの推進はあまり図られておらず、その結果介護保険施設へ入所希望する人たちが増加傾向にある。その違いがなぜ生まれているかについて明らかにするため、ロンドンのカムデン区をフィールドに視察を実施した。イギリスでは、ケアマネジメントを単なる生活支援のための援助技法として捉えるのではなく高齢者ケア改革の一環として、制度としてケアマネジメントを位置付け、ケアマネジメントが機能するための条件整備を模索している点が日本との最大の違いであった。そして、在宅ケアから施設ケアへ移行するについての一連の流れが仕組みとして一定程度整備されておりケアサービスの標準化が図られていた。また、医療と福祉を統合する地域ケアシステムの構築、ケアトラストなど、サービスの供給主体の多様化を推進しており、日本がこれからの高齢者ケア改革を推進して行くにあたって学ぶべき点が多くあった。イギリスを視察し検討した点については、『高齢者ケア改革とソーシャルワークI』『高齢者ケア改革とソーシャルワークII』(金子努著)に詳述している。16年度はこれらの成果を踏まえ、施設サービス計画作成のためのマニュアル開発等を行う。
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