研究課題
基盤研究(C)
本研究は、国立療養所「沖縄・愛楽園」の入園者からの聞き取り調査をもとに、沖縄社会の歴史的現実を踏まえ、沖縄におけるハンセン病問題の諸相について考察することを軸に展開された。本研究期間では、ある「愛楽園」入園者の生活史から、「愛楽園」開園以前のハンセン病患者の治療法、ハンセン病死者の葬儀のあり様を踏まえ、沖縄社会におけるハンセン病患者に対する差別の現実を考察した。この考察を踏まえると、ハンセン病患者は「死者」とみなされ、地縁的・血縁的な社会関係から排除される位相が明らかになる。それゆえ、ハンセン病患者にとって、「愛楽園」は、ゴッフマンのいう「アサイラム」としてだけではなく、V.ターナーのいう「コミュニタス」、あるいは「アジール」(避難所)としても捉え返すことができる。本研究では、この点を理論的に示した。本研究では、さらに、(1)「戦前から戦後復興期にかけての『愛楽園』の日常生活の構成」、(2)「入園者の世代に関する考察」、(3)「『愛楽園』内の信仰生活」の課題を設定したが、十分な考察には至らなかった。(1)については、当該期間の沖縄社会の歴史的現実を把握するための基礎資料の蒐集に多大な時間を費やした。(2)については、この間の「国賠訴訟」での勝訴判決をうけ、若い世代の退園(社会復帰)が進んだことにより、調査不能となった。(3)については基礎資料の蒐集が難航したことが原因で、十分な考察には至らなかった。(1)(3)の課題については、本研究期間で得られた基礎資料をもとに、今後も研究を進める必要があることが確認された。
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Bulletin of the faculty of social welfare Vol.11
ページ: 23-53
山口県立大学社会福祉学部紀要 10号
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Bulletin of the faculty of social welfare Vol.10
山口県立大学社会福祉学部紀要 9号
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立命館産業社会論集 39巻1号
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山口県立大学社会福祉学部紀要 11号
Bulletin of the faculty of social welfare Vol.9
Ritsumeikan Social Science Rewiew Vol.39,No.1