研究課題/領域番号 |
14510210
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研究機関 | 仙台大学 |
研究代表者 |
鈴木 弥生 仙台大学, 体育学部・健康福祉学科, 助教授 (80289751)
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研究分担者 |
佐藤 一彦 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (40259304)
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キーワード | バングラデシュ / 児童労働 / 子どものメイド / 農村の貧困 / 絶対的貧困層 / 子どもの労働撲滅 / 現地NGO / 支援 |
研究概要 |
平成14年8月8日より9月6日までバングラデシュ人民共和国(以下バングラデシュと称す)に滞在し、現地での調査を実施した。調査の方法は、現地NGOのスタッフや政府関係者、貧困層やスラムを追われた人々からの聴き取り調査による。訪問先は、BRDB事務所、S村のユニオン評議会議長と貧困層(30世帯)、N村の富裕層と貧困層(以上コミラ県ダゥドゥカンディ郡)、SHOISHAB BANGLADESH(現地NGO)、GRAM BANGLA(現地NGO)、スラム跡地、JICA UNICEF BANGLADESH、ダッカ大学、バングラデシュ工科大学(以上ダッカ市内)である。 バングラデシュでは、5歳から14歳までの子どもの約20%(658万4000人)が家庭外での労働を余儀なくされている。このうち、約8割は農村、約2割は都市で労働する子どもたちである。そして、近年農村の親元を離れ都市で労働する子どもたちが急増している。こうした子どもたちの多くは、農村の絶対的貧困層の出身であり、児童労働の発生は特に農村の貧困と深く関連している。 それゆえ、第1に農村の貧困層30世帯を訪問し、農村開発の現状と貧困層の生活状態を調査した。その結果、貧困層を対象とした社会福祉制度や施策の不在、あるいはODAによる援助が農村の最貧困層に行き届いていないということが明らかになった。次に、農村の親元を離れ、首都ダッカの他人の家に住み込み、半ば奴隷のような状態でメイドの労働を強要されている子どもたちの実態とそれらの問題解決に取り組むSHOISHAB BANGLADESH(現地NGO)の支援状況を調査した。SHOISHAB BANGLADESHでは、子どものメイドに識字教室を提供するのみでなく、貧困と子どもの労働撲滅に向けたキャンペーン・アドヴォカシーをメイドの保護者の他、顧主を含む都市中間層並びに富裕層を対象に展開している。これらの状況については、次項(11)に記載した論文にまとめた。農村の貧困層の生活状態については、現在執筆中である。
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