研究課題/領域番号 |
14510212
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (20225296)
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研究分担者 |
岡田 あおい 帝京大学, 文学部・社会学科, 助教授 (50246005)
速水 融 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (40051164)
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キーワード | 歴史人口学 / 宗門改帳 / 家族社会学 / データベース / 地域研究 |
研究概要 |
本研究は、幕末から明治初期にかけて全国8地域で各地域1000-4000世帯の情報を有する宗門改帳や戸籍を利用し、庶民(特に農民・漁民)のライフコースと、社会的・地理的移動を中心とした社会的ネットワークを分析することから、近代移行期の家族と地域性を探ることが目的である。本年度は、越前(現在の福井県)、備中(岡山県倉敷市周辺)を中心に以下のステップで研究を進めた。 1 データベースの構築:デジタル化されている越前、備中地方の情報について、それぞれ刊行資料、整理シートとのつきあわせチェックと、データ内のロジックチェックをベースにデータクリーニングを行った。さらに、戸主との続き柄をベースに世帯構成をコード化した。また、越前については、社会的移動とネットワーク研究に持高と個人の宗派情報が必須であることがわかったため、刊行資料を利用して追加入力を進めた。 2 フィールド調査:地域性を理解するために、福井市、倉敷市周辺のフィールド調査を行い、市町村の資料館・図書館において関連資料を収集した。 3 分析:越前、備中それぞれの男女別年齢構造や世帯規模などを算出し、明治19年全国戸口表との対比から、データの代表性や特徴を確認した。また、結婚についてはSMAMを、出生については同居児法を、世帯構成についてはハンメル・ラスレットモデルを応用してそれぞれのパターンを明らかにした。これらはまだ予備的分析の段階であるが、関東・東北地域と比べ、結婚年齢、TFR(女子ひとりあたりの平均出生数)ともに高く、世帯構成は非常に複雑であることがわかってきた。越前の研究成果については、人口学会で報告した。 今後、地域比較を進めていくにあたって、幼児女子の過小報告がある場合の統計的処理法、複雑な世帯構成の把握、社会的ネットワーク分析のためのデータ構築と歴史的背景と地域的特性の把握などが特に課題である。
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