研究概要 |
本研究は、映像の活用による効果的な社会学教授法を開発する実践的研究であり、その研究プロセスから社会学研究における映像利用の有効性および発展性を吟味し映像社会学の理論的体系の構築を射程に入れた理論研究でもある。 本年度は研究期間の2年目にあたる。前年度作成したシラバスと映像資料の構成案をもとに、素材ソフト「アジア社会論」のCD-ROM教材を試作し、実際に講義で使用した。Power Pointをプラットホームとして、タイのバンコク及びアユタヤにおけるコミュニティ構造と開発にテーマにしぼり、当該地域に関する概要を導入とし、主題に関する記述と映像は低所得者層のコミュニティを取り上げ焦点の拡散を避けた。一般映像の引用を全体の3割程度に抑え、スラムを徹底して紹介し、ミクロの視点からコミュニティ構造とそこに暮らす人々のライフスタイルを捉え、一般化へとシナリオを展開しマクロにも把握できるように工夫した。講義での使い勝手や学生の反応から判断すると、シナリオとその内容を説明する映像資料の収集(多角的に紹介できるほど豊かな情報量が必要)及び提示方法を体系化する作業が今後の課題として明確になった。また、静止画情報と動画の使い分けについても今後の課題となった。 社会学的研究における映像利用の視点から、アユタヤにおけるコミュニティ活動とライフスタイル分析に関する研究成果を、平成15年12月15日にAIT(Asian Institute of Technology,)で開催されたAITおよび東洋大学のジョイントセミナーにおいて、成果の一部を発表した。 また、本年度の研究成果をふまえ、映像社会学の理論的体系の構築を射程に入れたアジア都市社会に関する論考を、平成16年8月にサンフランシスコで開催される国際映像社会学会年次総会で発表する予定である。
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