研究概要 |
本研究の目的は、映像活用による社会学教育とその教授法を開発する実践研究である。またその開発プロセスおよび先行研究の分析から社会学研究における映像利用の有効性を再検討し映像社会学体系の構築をめざす理論研究でもある。 本年度は研究期間3年目でまとめの年である。平成14〜15年度に行ってきた講義用CD-ROM(Power Pointをプラットホームとして制作)に対する評価調査と専門家による指摘をふまえ、「アジア社会論」のための素材ソフト(講義をすすめるための要素を盛り込んだ内容で講義ソフトではない)を制作した。 素材ソフトの制作にあたり東南アジアのスラム住民の定住環境とコミュニティディ開発を題材に取り上げ、東南アジアにおける都市社会の特質を論ずる内容とした。とりわけタイのバンコク、アユタヤにおいてスラム住民のコミュニティネットワーク活動の成立と変遷に着目し、定性調査を行いその結果を映像活用によって講義素材ソフトを制作した。そこで得られた社会学的、都市計画論的成果を平成16年12月にAIT(Asian Institute of Technology, Bangkok)で開催された東洋大学-AIT共催のセミナーにおいて発表した。その報告書はAITにおいて現在編集中であり、平成17年7月に出版の予定である。また、都市計画及び都市社会学の視点から分析した結果を、平成17年10月に韓国Jeju市で開催される日本都市計画学会国際都市計画シンポジウムで論文発表を予定している。 また、アユタヤのコミュニティにおいて参与観察を行った結果をアーバン・エスノグラフィ記録として、平成16年8月にサンフランシスコで開催された国際映像社会学会において発表した。その成果に加え本研究の理論研究として行った社会学における映像の研究利用についての時系列データを取り入れ、映像社会学な現代都市社会に関する考察を現在論文として執筆中であり、平成17年度中に同学会学会誌"Visual Studies"に投稿する。 今後は動画活用に力点をおいた研究を継続していく。
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