研究概要 |
1、日本における愛着障害及び愛着療法への理解と活動内容に関する検討 施設内のケアワーカー、指導員、及び厚生労働省による児童養護施設への心理職の派遣事業によって派遣されている心理療法士に対して、細かな臨床心理学的な面接調査を行い、日本における愛着障害についての理解とその対応の活動内容について調査・検討を加えた。その結果、愛着やトラウマに関する専門的なアプローチは箱庭療法やカウンセリング面接に偏り、愛着の再形成を念頭においた愛着療法はまだ日本には定着していないことが見いだされた。 2、愛着障害に対する活動の日米比較及びアメリカの愛着療法の導入 アメリカ・コロラド州エヴァーグリーンの愛着対処訓練研究所のテリー・M・レヴィー博士及びマイケル・オーランズ氏の元で、アメリカにおける愛着障害、愛着療法活動などを検討した。そこで行われている様々な技法及びケアワーカー、ソーシャルワーカー、サイコセラピストなどの専門職の役割の分担と連携のあり様も詳細に検討した。その結果、愛着療法にはチームアプローチが重要であり、さらに愛着の形成のためには父母を巻き込んだ家族療法の視点が必須であることが示唆された。 3,児童養護施設及び情緒障害児短期治療施設における被虐待児へのケアワーカー、心理職、指導員による適応援助プログラムの作成 これらは現在行われているケアワーカーによる援助、心理職によるプレイセラピーなどによる被虐待児への対応を補完するものである。研究代表者である藤岡が関わっている情緒障育児短期治療施投、共同研究者である加藤が関わっている児童養護施設において、愛着療法のプログラムを実践し、その技法的な妥当性及び効果を検討した。その結果、日本における施投の独自性などを考慮し、まずは、一つのプログラムのなかで試行的に行なうことが重要と考えられた。
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