1、ケアワーカーと心理職の協力による愛着療法活動の検討 臨床心理学の専門職である心理職による個別的な援助体制の内容を検討し、かつ日常生活への関わりの専門家であるケアワーカーによる被虐待児への共同援助体制の検討を試みた。平成14年度に作成された適応援助プログラムをさらに現場において実践し、その妥当性を検討した。 2、里親に対する愛着形成プログラムによる研修の検討 平成14年度に整理・作成した愛着形成プログラムを活用して、子育て中の親に向けての研修プログラムの実践を試みた。アメリカ及び日本の里親への適用に基づいて、今後日本における里親の研修プログラムがさらに検討されていくことが望まれる。 3、愛着療法活動の日米比較及びアメリカの愛着療法の導入 昨年度に引き続き、アメリカ・コロラド州エヴァーグリーンの愛着対処訓練研究所のテリー・M・レヴィー博士及びマイケル・オーランズ氏の元で、アメリカにおける愛着障害、愛着療法活動などを検討した。そこで行われている様々な技法及びケアワーカー、ソーシャルワーカー、サイコセラピストなどの専門職の役割の分担と連携のあり様も詳細に検討した。その結果、愛着療法には、子ども自身の愛着形成のプログラムが重要であり、さらに愛着の形成のためには父母を巻き込んだ家族療法の視点、父母自身の愛着関係の見直しという視点が必須であることが示唆された。さらに、日本の現状にあった愛着障害対策及び愛着療法の日本独自の展開の方向性を検討・確認する機会とした。
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