本年度は主として、以下の4点について調査研究を行い、成果をまとめた。 (1)調査対象(私鉄産業)において、規制緩和・経営合理化の焦点が賃金体系の変更問題になってきている。とくにこれまでの生活給中心の「電産型賃金体系」を能力給中心に変更したいとする経営側と、従来の生活給中心を維持したいとする労働組合側との対立が深刻化している。そこで、面接調査によって、この点についての労使双方の意見の聞き取りを行うとともに、「電産型賃金体系」の変遷についての歴史的研究を行った。その成果は下記の「雑誌論文」の項の(1)の論文にまとめた。 (2)調査対象(私鉄産業)における規制緩和・経営合理化による雇用形態の多様化の結果、契約社員数が増加しており(従業員の約30%)、その組織化が労使交渉の焦点となっている。その結果、勤続3年後に正規社員への登用、および組合員化が労使協定された。これは全産業中でも珍しい協定となった。そこでこの問題に焦点をあてて、その経過、現状の課題について労使双方に聞き取り調査を行うとともに、契約社員に対するインタビュー調査を行った。現在、その結果を整理し、論文を執筆中。 (3)本研究の4年間の成果を国際比較(グローバル化と労使関係の変化)の視点からとりまとめた。その成果は、下記の「図書」の(1)、「雑誌論文」の(2)にまとめた。 (4)本研究を通して、インタビュー調査の方法について考察し、その成果をまとめた。それは下記「図書」の(2)として出版した。
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