(1)データ解析: 中国の現地(北京市と西安市)で実施した委託調査によって、勤労者の意識に関するアンケート調査データ1262票が得られ、データの解析を進めた。同時に、各種資料(経済統計年鑑、工会統計年鑑、労働者調査資料など)の分析作業を通じて、データ解釈の精度を高めることに勤めた。論文に書いたように、地域(都市)変数や所属先の所有形態変数が現代中国人の労働意識や生活意識の分化を促している点が確認された。 (2)過去のデータとの継時的比較分析: 過去に中国で実施したことがある類似調査(1990年、1995年、2000年)との比較分析に着手した。主には、2000年データとの比較を行ったが、社会保障改革(住宅政策)への評価や改革開放政策への評価の分析から見ただけでも、地域経済や、地域の諸政策の違いが意識変化に複雑な影響を与えていることが判明した。さらに、市場経済化が進む中での階層分化の進展と解釈できるようなデータも得られている。
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