14年度は、第1に、総務庁「労働力調査」や「労働力調査特別調査」を用いて、「正規雇用層」「非正規雇用層」「自営業層」の数量的分析を行い、今日の失業の性格を分析すると共に、急速に減少していく自営業層について、その潜在的失業の1形態として、また過剰人口プールとしての機能が急速に減退していることを分析している。 第2に、全国商工団体連合会の「営業とくらし・健康調査」(8万人調査)に参加し、その分析を行った。同団体の「営業動向調査」(上期・下期)の調査にも参加し、その分析を行った。売上の減少が続き、営業所得だけでは生活が成り立たないため、パート・アルバイトなどの副業を持たざるを得ない実態が分析され、自営業層の名目性が強まっていることが立証されつつある。 第3に、名目的自営業層への対応策については、地域社会の中で地域生活密着型事業の開発をしている事例として、京都府大宮町と美山町における「村づくり委員会」や「地域振興会」について調査し、その実態を把握しつつある。 第4に、名目的自営業層への対応策の第2の形態として、NPOを中心とした大阪市にある「釜が崎の街再生フォーサム」について、その実態を把握しつつある。 第5に、名目的自営業層を含む中小企業に対する対応策の第3の形態である、地方自治体が産業振興条例を制定し中小企業の振興に努めている事例として、東京都墨田区と大田区を調査し、その実態を把握しつつある。 第6に、その対応策の第4の形態として、京都市や青森市にある「高齢者事業団」による「緊急地域雇用創出特別交付金」を活用した事業起こしと失業対策について、その実態を把握しつつある。
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