1.全国商工団体連合会婦人部協議会が、3年に1度実施する「業者婦人の仕事・くらし健康の実態調査」に参加・分析・報告を行った。その結果、売上の長期的減少傾向が引き続き観察され、営業所得だけでは生活が成り立たない「名目的自営業層」のその名目性が強まるとともにその数が増大していた。若年層のパート・アルバイト化が進み、高齢者層は年金への依存が強まっていた。また、国民年金や国民健康保険の保険料の滞納世帯が増加傾向を示し、社会制度から遠ざかっていく人々の実相が明らかにされた。 2.京都市左京区社会福祉協議会による地域福祉活動計画とその基礎資料として実施した「左京区わたしたちの暮らし・ふれあいアンケート調査」に参加し、その報告書が完成した。その結果、特に北ブロック(中山間地域)における福祉施設・サービス、医療機関、公共交通手段、買物店、文化施設などの社会基盤の不足による生活困難が明らかになった。これを受け、北ブロックの別所地区では「別所まちづくり委員会」を平成15年4月に立ち上げ、その要請を受けて、「別所で安心して住み続けられるための生活実態調査」を企画、平成15年7月31日から8月2日に金澤ゼミの学生・院生22名で実施した。その調査報告会をかねたシンポジウムを3月21日に、別所まちづくり委員会、左京区社協主催によって83名の参加で実施した。JAコープの撤退に対して、高齢独居や夫婦のみ世帯を中心にJAへの依存度が強いという調査結果を参考に、同委員会、北部まちづくり委員会は、業者に要請しその協力による注文配達が実施された。また、福祉サービス特にヘルパーやショートスティ、ディケアなどの利用率がきわめて低いことが調査によって判明し、その結果、高齢者が住み続けられない状況にあることが分かった。中山間地域では、業者だけで営業が成り立ちにくく、行政の財政的支援それに住民の積極的参加による3者の「協働」でなければ、福祉サービスの供給が出来ないことが分かった。「小規模多機能ホーム」の設立と運営が課題となった。 3.業者と行政と住民の「協働」による地域生活密着型事業の展開は、京都府美山町の「地域振興会」を母体とした住民による有限会社設立・運営が典型的事例である。15年度も引き続きその実態について聞き取り調査をした。
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