1)主として、この間の大きく展開した障害者福祉制度改革等における脱施設化施策について検討し、成果を発表してきた。 新障害者プラン(2003-2012年)は、知的障害者入所更生施設の今後の整備計画に関して、「真に必要なもののみ」と限定し、前半5年の重点施策ではその整備に関する数値目標も掲げなかった。明確な脱施設化への施策方針の変更と考える。しかし具体的な支援費制度や平成15年度施策を分析すると、現在の知的障害者入所更生施設利用者が永続的に利用継続しがたくする消極的施策でしかない。積極的な脱施設化政策、地域生活への移行を推進する特別な施策展開もなく、また現在いる待機者問題を具体的に解決する施策展開もない。本研究の意義をあらためて確認することとなった。 2)欧米の脱施設化に関する文献研究では、現在のところ、アメリカにおける個の内面に関する権力の介入に対する脱施設化、北欧における標準的な生活保障としての脱施設化、という必ずしも一括りにできない傾向があるという仮説を導いている。それ故にノーマルな生活保障という施策研究である本研究においては、今後北欧を中心として、その脱施設化過程を主に検討していく。 3)知的障害者入所更生施設における少人数共同生活に関しては、先駆的に活動している諸施設からの聴取、資料収集をすすめてきた。障害の軽重に係わりなく大きな変化をつくりだしており、地域生活への具体的な移行準備として十分に機能している。しかし移行にあたっては、家族問題、継続的系統的な支援担当者などの課題がある。今後はこれらの検討を進める。
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