乳幼児を養育中の母親を対象にした調査を行い、365人から回答が得られた。その結果、親になるまでに赤ちゃんの世話をした経験がある人は3割に過ぎなかった。そして、経験のある人に比べて、経験の無い人の育児不安がより高い傾向がみられた。なお、子育て経験が無かったと答えた人たちの方が、経験があったと答えた人たちより、子どもが可愛くないと思うことがあるという回答が2倍もあった。 また、出産以前に抱いていたイメージと現実の子育てとのギャップがあったと答えた人が多く、イメージと現実とのギャップがあった人たちの方が育児不安は高い傾向がみられた。 なお、調査の結果、子どもがかんしゃくを起こしたり、駄々こね、言うことをきかないといった場面での対応がうまくできず、子どものしつけに体罰を用いる親が多いことが明らかになった。子育ての手本を示してくれる人が身近にいないために、ストレス場面で冷静に対応する術を身につけることができずに、未熟なしつけへとつながっているようである。 子育てに疲れるという回答が8割強、時間的なゆとりがほしいという回答が9割強という結果にみるように、育児の疲労感、束縛感に悩む母親が多いことが明らかとなった。母親たちの自由時間はほとんど無く、専業の母でも平均2時間で、有職の母の1時間とあまり差がなかった。 なお、父親たちの家事・育児参加は乏しく、手間のかかる世話は妻まかせである実情が明らかになつた。夫の家事・育児参加に満足している人は、3人に1人に過ぎず、夫婦で互いに支え合って子育てをすることができないことが母親たちの葛藤を強めていることが推察される。 このことから、子育ての負担の軽減を図ると同時に、親の育ちを支え、自信の回復につながるような支援が不可欠になってきているといえよう。
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