研究概要 |
今年度は,構造変動期における自励車産業従業員の仕事意識の変化をとらえるために,わが国の代表的な自動車メーカーであるM社の従業員をおもな対象として行った。以下で報告する2002年9月実施の従業員へのアンケート調査は.従業員の生の声を聞くため,門前配布,社宅等への訪問などの方法により,あくまでわれわれの責任で実施し,個人情報を厳守した。有効回答数は298,本社を中心とした調査になったため,技術開発部門の従業員の回答が多いことが特徴である。 分析の途上であるが,この調査からの知見を記し,研究実績の概要とする。 この10年間の変化 従業員がこの間の変化として,最も強く感じているのは,「コスト削減意識の増大」であり,ついで「異文化間コミュニケーションの進展」「関連会社との関係の業績主義化」「終身雇用観念の衰退「能力主義の進展」の5項目が過半数の従業員が感じている変化の間の変化である。 能力主義の評価 能力主義人事の進展については,70%強の従業員から積極的に受けとめられている。また,ここでいう能力の中身として,今後の人事評価などで重視されるであろうと従業員の多くが予想している能力は「創意工夫やアイデアを出す能力」「リーダーシップ」「英会話などの語学力」などである。 仕事意識 以上のような労働状況の変化についての認識と職務満足度との関係については,変化を強く感じているものほど,職務満足度が高い。また全般的職務満足に直接に影響をおよぼすと考えられる諸要因のなかで,全般的職務満足と最も強い相関があったのは「仕事内容のおもしろさ」であり,ついで「職場の人間関係」であった。
|