研究課題/領域番号 |
14510249
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研究機関 | 群馬松嶺福祉短期大学 |
研究代表者 |
山田 健 群馬松嶺福祉短期大学, 人間福祉学科, 助教授 (00320664)
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研究分担者 |
水村 容子 群馬松嶺福祉短期大学, 人間福祉学科, 助教授 (30331341)
小川 信子 北海道浅井学園大学, 人間福祉学部, 教授 (60060612)
一番ケ瀬 康子 長崎純心大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (20060600)
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キーワード | 選挙権 / 障害 / 公職選挙法 / 投票権 / 高齢社会 / 人権 / 在宅投票 |
研究概要 |
(1)日本の現行公選法規定は、法規上心身能力低下をもつ選挙人の選挙権行使を実質上抑制阻害している。当該規程は、1951年地方選挙で発生した大規模不正投票の再発防止を理論的根拠とし、規定内容は、不正原因に対応したものではなく、在宅投票制度全体を不可能とする投票権侵害=選挙権侵害=違憲状態を生ずる原因となっている。1974年に一部復活した郵便投票制度以降も、同様な違憲状態は70数年間に及んでいる。(2)介護保険の要介護認定者は、本調査結果の範囲において半数以上が、非投票であり、原因は主として体調の不調と移動困難性にある。これは、能力低下レベルとは相関していない。また、移動困難性は通常の移動手段(歩行機能レベル)とは関連がなく、投票所への投票当日における移動手段の確保を意味している。身体上の能力低下は、投票行動において障害とは言えず、非投票の原因は、環境因子によって生じている。したがって現行公選法規程が、重度歩行運動機能低下を在宅投票の事由とすることは、実態的論理的に誤謬である。(3)オランダでは、本調査結果の範囲において心身能力低下と公選における非投票とは関係がない。非投票は、自由意志による積極的投票拒否である。またスウェーデンは、在宅投票を不在者投票の一環として制度化し、投票環境の改善によって投票率の向上を恒常的に国策として進めている。(4)現行公選法規定は、投票権の制限よって心身能力低下をもつ選挙人の選挙権を剥奪しており、すでにとくに高齢者が選挙人人口中に一定の比率を占め、高齢化によるこの人口激増が予想される。これは、わが国において行政政策への非関与、社会保障施策当事者性の奪取という現象を生じせしめ、人権保障の実体外人口を実質的に増加させるものである。(5)今後高齢化が急進するアジア諸国の状況をIDEAやIFESの国際機関と連携して、実態調査を行う予定である。
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