本年度の研究は、第一に、平成12年度に開発した「介護サービス量予測システム」を改良し、個々の高齢者別に必要な介護内容の発生率を示した「介護内容推定表」が自動的に算出される、個々の高齢者の状態維持や改善に効果的な介護サービス内容の推定を行う「介護内容推定システム」システムの開発するため基礎データを収集し分析することが目的であった。 分析については、介護保険給付データを基礎として、介護給付の組み合わせや、属性によるサービス嗜好の状況などの法則性(関係性)を明らかにした。 具体的には、(1)調査対象地域の人口動態や、構成、ブロック別の高齢者人口の分布など市行政に関する基本的な情報を得るために、主に既に発表された資料を基に分析した。次に、(2)介護保険制度に関わる基礎データとして要介護認定における高齢者に基本情報データの分析をした。同時に、これらの要介護認定者の利用する介護保険サービスの状況を明らかにするために、過去2年間の(3)介護給付に関するデータを入手し、分析をおこなった。 それらの基礎データの集約と分析の後、データ分析から明らかになった要介護度の推移に特徴が見られた高齢者群の抽出をおこなった。抽出の条件としては、介護保険サービスを利用した高齢者の中で、「成果」として、経年的に要介護状態が改善した事例、あるいは悪化した事例を抽出し、これらの事例に対する詳細なヒアリング調査を実施した。 これらの結果は、介護保険サービスの質を評価する上で、最も基礎的なデータを収集したと考えられ、とくに重要であると考えられる。
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