研究概要 |
【1】2カ年を予定した本研究は、資料開発面において、教育課程資料と新聞資料を現地で閲覧し、さらにアルヒーフ(公文書館)等で関連政策形成にかかわる資料を探求することによって、1920年代末-1930年代初における労働・ポリテフニズム教育の動的な展開史を明らかにすることを目的としている。 【2】本年度の実施計画に沿ったモスクワ調査を7月末-8月に10日間、実施した。(1)当地の海外共同研究者、オフチンニコフ氏(Ovchinnikov, Anatoly.ロシア教育アカデミー教育理論教育学研究所・上級研究員)から、研究動向と資料所在に関する情報と協力を得た。(2)史料調査のうち、新聞関係では、「国立公共・歴史図書館」に絞り、ここで"Uchitel'skaya Gazeta"(教員新聞)を閲覧。この中で、1930年秋から31年5月にかけての重要事実--地方教育行政機構の混乱・中央の指示の不履行、学校支援協定後の経済官庁・企業の約束不履行、中央の責任者による地方の行政崩壊視察、地方のポリテフニズム理解の実相、など--を確認し、書写で資料入手してきた。(3)史料調査のうちカリキュラムと教授法関係では、ロシア教育アカデミー付属ウシンスキー記念教育専門図書館にて、従来ほとんど顧みられていない1930年4月-31年5月の教授法関係専門家会議の議事録を入手し、これらにより、当時の学校現場の混乱、新教授法(=プロジェクトメソッド)の不浸透の実情、教師の方針無理解・教授力量低下の現実の前に各教科ごとのカリキュラム作成への方針転換が発言され始めること、等を発掘することができた。 【3】第一年度の後半は、蒐集した資史料を読解・分析し、教育政策・実践史の流れを再構成する作業にあてている。全体計画のうち、教育アカデミー学術アルヒーフ他において1929-1932年度の各学年・主要教科・教育課程史料などを探求する作業は、次年度以降の課題になる
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