1.概況 本年度は、3ケ年計画の初年度であったので、研究課題のテーマに関わる資料、文献の調査と収集に力点を置き、同時に教育における「逆コース論」を検証する前段階として現代史研究における「戦時・戦後の連続・断絶」論争及び「逆コース」論争の整理と検討を行った。 2.資料・文献の調査と収集 (1)「逆コース論」及び占領期教育史に関わる文献、資料を国立国会図書館国立教育政策研究所、北大附属図書館等で調査し収集した。 (2)東京都、大阪府の占領・戦後期における教育史関係資料、文献の調査と収集を行った。東京都については、テーマと関連する資料が少なく、今後の調査によってはケーススタデイの対象の再検討も必要になるかも知れない。 3.「逆コース」論争について (1)「戦時・戦後連続」説 一種の「逆コース」否定論に属する「戦時・戦後連続」説には、山之内靖、雨宮昭一らの唱える総力戦体制論=「強制的均質化論」と岡崎哲二、野口悠紀男らの唱える「1940年体制論」という主張の内容と性格の異なる二つの系譜があることが明らかになった。 (2)フロストの「逆コース」否定論 アーマスト国際会議におけるフロスト報告とこれをめぐる評価に関する緒論の検討を行い、論文としてまとめる準備をした。日本における「逆コース」不在説(例えば、小倉裕児、柴山太)とのいくつかの点での共通性が明らかになった。
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