本年度は、次の2つの研究活動に従事した。 1)標記テーマを探究するための理論的枠組の検討 ニューカマー(外国人・外国籍)の児童・生徒の教育の問題を考える際に重要なのは、言語・学力・進路・アイデンティティーなどの彼らがかかえる諸課題は、学校のなかだけで決して完結するものではないということである。学校と家庭・地域との連携がなければ、彼らに対する教育支援は不十分なものにとどまってしまう。そのような観点から、教育学のみならず、社会学・文化人類学・社会福祉学等の関連領域のものもふくめて、内外の文献にあたり、この問題を考える上での理論的検討を行った。 2)事例研究 標記のテーマに関して、興味深い実践活動が見られる6つの地域を選定し、その地域で研究活動に従事している研究者からの報告を持ち寄り、その活動の特徴・成果・課題等について検討を行った。具体的に扱った地域は以下である。神奈川県川崎市・同横浜市・同大和市・愛知県名古屋市・大阪府大阪市・大阪府松原市。神奈川県のケースでは、インドシナ難民や中国からのニューカマーに対する活動事例が、以下、名古屋では日系南米人、大阪では在日韓国朝鮮人・在日中国人をめぐる問題が検討の中心となった。
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