本年度は調査初年度にあたるため、戦前期に設置された小学校のリストづくりから始めたそれらが現在のどの住所のどの学校に当たるかを確定する作業が意外に難航した。なぜなら、とりわけ近年統合や廃止が予想以上に進行しており、設立当初の学校と現存校の関係が大変わかりにくくなっているからである。このような作業の結果およそ130校あまりが校名変更などもふくめて現存していることがわかり、それはおよそ60%程度にあたる。 上記作業と並行して、退職教員からの文書保存に関する聞き取り、大量の史料を保存している文京区誠之小学校の調査をおこなった。さらに近々統廃合の予定されている学校を各区教育委員会へ問い合わせ、その結果11校を選んで訪問調査した。ほとんどの学校で『学校沿革史』、『卒業生台帳』は保存していたが、そのほかについては廃棄が進行しており、数年前に全都的に大量の文書廃棄が行われたとのことであった。これらの調査では写真類の貴重性を認識したとりわけ理科室、衛生室、などの特別教室について視角を通してみて改めて研究の必要性が感じられた。多くの学校でこの調査の意義について同意が示され、学校の文書類は許可を得てデジタルカメラで撮影し、現在目録化および保存のために全文書のプリントを行っている。これらの資料収集を継続し研究として構造化していくことを目指したい。
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