本年度は2年目にあたり、都内(旧東京市内)に戦前期に設立された古い小学校の戦前期の文書調査、撮影を継続した。最大の問題は当今の個人情報への関心の高まりから、学校文書の調査それ自体に難色を示す学校があり、特に生徒の就学に関する史料はきわめて収集が難しくなっている。さらに学校が大変忙しく、なかなか予約が取れないことも少なくない。学校の変化も著しい。調査に先立ってHPなどで収集した戦前期設立の小学校は全部でおよそ120校あまりであったが、実際にはさらに減少していることが明らかになった。たとえば千代田区では10年前に小学校の再配置をおこない、戦前からの有力な小学校は2/3程度になった。またこの数年のあいだに文書の整理がおこなわれており、もう少し早ければと残念がられるケースもいくつかあった。これらの学校が許可する範囲で文書のデジタルカメラでの撮影をおこない、文書のプリントアウト、文書目録を作成中である。 ほとんどの学校が学校沿革誌、卒業生台帳は保存しているが、現千代田区、中央区は関東大震災と第二次世界大戦下の東京大空襲にあった学校が多く、戦後にあらたに作りなおしたものが半ばをしめる。しかしかなり詳細な学校もあるので、学校沿革誌から情報を得ることが第一の仕事になると思われる。学校日誌は数校でかなりの量を保存していた。 今後学校訪問と撮影、目録化を一層の密度で進行し、分析に移りたいと考えている。
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