研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本、英国、米国において、連帯と公共性の形成に貢献しうる「生き方としての民主主義」のための教育倫理を再構築するために、アメリカの哲学者、エマソン、デューイ、カベルの「道徳的完成主義」の系譜の意義を解明し、「自己信頼と他者へのケア」という視点から、道徳教育における新しいパラダイムを提言することを目指した。研究の手法としては、文献研究や比較研究にとどまらず、海外の研究者との異文化間の哲学的対話に根ざした「教育の哲学」のアプローチを取り入れた。平成14〜16年の期間、(1)研究成果の出版(日本語、英語)、(2)海外における多々の学会発表、(3)教育と哲学の異文化間交流の三つを中心に数々の業績を上げた。また、これまでの成果を基に、英語の著作の最終原稿の契約を、アメリカのFordham University Pressと結ぶことができた。また、カベル氏をハーバード大学に二度訪問し、The Senses of Waldenの翻訳作業が完成に向けて大幅に進んだ。最終年度には、海外協力研究者を京都大学に1ヶ月間招聘し、同研究課題に関わるセミナー、講演会の開催を通じ、日本の研究者、学生との対話のネットワークを一層促進し、また共同研究の総括を行うことができた。三年間の研究を通じ、デューイ、エマソン、カベルの「道徳的完成主義」の思想の哲学的基盤が明らかになり、彼らのアメリカ哲学が、「自己信頼とケア」の倫理を基盤とする、広義の道徳教育の意義が解明された。また、彼らの思想が、日英米の道徳教育、市民性の教育が共通に抱える問題への応用可能性が開けた。また、海外協力研究者のみならず、アメリカ、イギリス、ヨーロッパの研究者との対話のネットワークが飛躍的に発展した。とりわけ、世界市民の教育の領域において、アメリカ哲学における道徳的完成主義の思想が貢献しうる視点、領域、更なる発展課題が明らかになり、また一層の東西対話の必要性が示さるに至った。
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すべて 雑誌論文 (13件)
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