本年度は、本科研費による初年度であることもあり、次年度からの具体的4研究作業に向け年以下のような基礎的研究作業に取り組んだ。 (1)旧来の教育政策(過程)研究の総括や理論的検討を行った。その成果の一端は、本実績報告書「11.研究発表」に掲載している本多正人編『教育委員会制度再編の政治と行政』所収の拙稿「教育委員会制度研究の総括と課題-戦後教育行財政制度の構造と教育政策の研究方法をめぐって-」等に反映されているが、教育行財政制度の構造と教育政策過程の関係を視野に入れることと、フォーマルな法制度だけでなくインフォーマルなしくみ(上記論文では教育行政分野ではネットワークという概念が重要ではないかと指摘)にも着目して教育政策の過程と構造を明らかにしていく必要性があることを指摘した。 (2)(1)の作業を通じて、日本の教育政策(過程)研究に重要な示唆を与えると思われるアメリカの政治学者ロナルド・ショッパ(Leonard James (4)本年度は、戦後の中心的教育行財政制度の一つでもある義務教育費国庫負担制度の改廃論議が国レベルで活発に進んだこともあって、本研究課題としても、その動向と意味を考察する必要に迫られその分析を行った(その成果の一端は、「11.研究発表」掲載の拙稿に発表している)。) "Education Reform in Japan -A Case of Immobilist Politics-" (1991)の成果を今日の教育政策研究に応用する必要を感じ、ショッパの政策過程分析の枠組みの発展的継承を意図し、その訳出と理論的検討を進めた。翻訳出版については、現在、幾つかの出版社と交渉中である。 (3)上記の理論と分析枠組みを使った戦後日本教育行財政制度の構造と教育政策過程の研究を義務標準法と義務教育費国庫負担制度の成立、展開の実証的研究で検証することが、本科研費の一つの課題でもあるが、本年度は、(1)(2)の作業が中心となり、実証的研究では、成立過程時期の資料探索等(国立教育政策研究所等)に留まった。 (4)本年度は、戦後の中心的教育行財政制度の一つでもある義務教育費国庫負担制度の改廃論議が国レベルで活発に進んだこともあって、本研究課題としても、その動向と意味を考察する必要に迫られその分析を行った(その成果の一端は、「11.研究発表」掲載の拙稿に発表している)。
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