占領期から1950年代後半の図書館政策を明らかにする資料の分析を中心に研究を進めた。これまでGHQ/CIE資料やアメリカでの資料調査を行ってきたが、今年度は目本の研究資料の発掘を行った新たに検討対象にした資料は次のものである。 (1)占領期図書館制度および図書館学教育関係資料(東京大学教育学部図書館学研究室蔵) 公共図書館、学校図書館、図書館学教育にかかわる一次資料 (2)日本図書館学会事務局資料 1953年設立の同学会事務局に残されていた一次資料 (3)大田周夫旧蔵資料(国立教育政策研究所蔵) 文部省初等中等教育課長などを歴任した同氏の資料で学校図書館関係資料が含まれる (4)辻田力旧蔵資料(国立教育政策研究所) 文部省調査局長、初等中等教育局長などを歴任した同氏の資料 (5)日本図書館協会資料室蔵資料 とくに図書館法および公共図書館関係資料のコレクション また、戦後の図書館学研究についての動向を明らかにするために文献調査とインタビュー調査を行った。インタビューは、長らく国立国会図書館に勤務するかたわら日本図書館学会で研究発表および後進の指導を行ってきた石山洋氏および京都大学図書館事務長を勤めながら研究に重視してきた岩猿敏生氏に対して行った。以上の調査および分析によって、戦後図書館制度の輪郭を再構成するのが2年目の課題である。
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