研究課題
基盤研究(C)
本研究は、国連子どもの権利条約第12条に規定されている子どもの意見表明権の法哲学的、教育思想的意義を明らかにし、それに基づいてその法的意味を明らかにするために、4年間行われた。成果は以下の通りである。第1に、子どもの権利の本質をめぐる二極論-権利利益説に基づき、権威的な大人に対する服従を子どもの利益として同定し、子どもの権利の本質を権威への服従に求める立場、および、権利意思説に基づき、子どもが想定されていた以上に早く大人と同等の合理性を獲得するに至るとし、子どもの権利の本質を、権威への服従からの解放に求める立場-が、発達思想的には、子どもの発達を非合理的な非社会的精神状態から、合理的かつ社会的なそれへの入れ替わりとみなしていることにおいては変わらず、意見表明権を包摂し得ないものであること。第2に、意見表明権を子どもの権利の中に位置づけるためには、子どもが主体性を持って生まれ、かつ、子どもの主体性に応答する大人との関係においてこそ保障されるというVygotskyの発達思想を基礎にする必要があること。Vygotsky心理学に基づけば、意見表明権は、子どもが生まれながらにして有している主体性と、それを可能にする応答的な関係を保障することにその主眼があると解されることになる。第3に、この応答的な人間関係を形式性を本質とする法によって直接実現することは不可能なので、そのような応答的関係を「可能化する」ことにその役割が求められる。(1)応答的な関係を可能にする条件整備(具体的には、このような応答的な関係を教師と子どもとの間で可能にするクラスサイズ)(2)子どもに直に接している大人が子どもの要求に応答しながらその養育を実行していくことを不可能にするような干渉が国に禁止されること、および、(3)それとの問で応答的な人間関係を有すべき大人を有していない子どもにそのような大人を提供することである。
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障害者問題研究 34巻1号(掲載予定)
Japanese Journal of Studies on Disability and Difficulty vol.34, No.1(to appear)
子育ち支援の創造-アクション・リサーチの実践を目指して(小林他編) 学文社
ページ: 128-142
日本教師教育学会年報 13号
ページ: 64-71
Journal of Teacher Education vol.13
新潟大学法政理論 36巻1号
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季刊セクシュアリティ 9号
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日本の学童保育 331号
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Quarterly Journal of Sexuality vol.9
The Journal of Law and Politics vol.36, No.1
Journal of After School Child Care No.331