研究課題
基盤研究(C)
米国における教育の質的改善にむけた取組を、教育統治過程と教育行政・学校経営の専門技術的過程そして教職員による教育実践に分節化して考察することによって、今日の米国における教育改革の大きな柱の一つは、教育行政・学校経営の専門技術的過程の質的改善にあることが浮き彫りになった。また、「分散連携型リーダーシップ(Distributed Leadership)」と呼ばれる理論と実践が、米国の大都市教育改革で着実に広まりつつあることも観察面接調査で明らかになった。これは、創造的な教育実践と教育課程を開発していく教職員のリーダーシップもまた、教育経営・学校改善においてはきわめて重要であるとする。すなわち、自治体の教育改善は、教職員、校長、教育委員会(教育長)などそれぞれのアクターが持ち前のリーダーシップを発揮し、尊重しあうとともに連携していくことが大切だというのである。調査研究で明らかにできたことを以下の5点に整理し報告書を作成した:(1)初等中等教育法の2001年改正による教育アカウンタビリティシステムは、従来にもまして成果管理型の教育ガバナンスシステムを強化している。(2)ハーヴァード大学大学院の都市教育長養成プログラムとヴァンダービルト大学の校長リーダーシップ研修プログラムの特徴は、それぞれ「分散連携型リーダーシップ」と「CEO型リーダーシップ」として捉えることができる。(3)教育長および校長の専門職能は、大学と連携した養成研修プログラムのみならず、学校改善の実践を通してその向上がはかられている。(4)日米比較観察調査研究では、わが国における学校評価・学校改善活動は、校長の学校経営上の権限と責任を強化していく傾向が強いことが明らかとなった。(5)東海3県の市町村教育長に対する悉皆調査では、「教育法の整備と教育改革」「教育行政・政策評価と学校評価」に対する研修(力量向上の)ニーズが特に高いことがわかった。
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