本研究では、以下の4点の課題を検討した。(1)作業所、授産施設を利用している障害者の中で、発達年齢3歳頃までの重度発達障害をもつ人を対象に、個々人の労働・作業能力、生活能力、社会的能力、レクリェーション・余暇活動等を明らかにした。また、これらの施設でのQOLに対する考えや支援内容・方法を労働・作業との関連で明らかにした。(2)(1)で取り上げた重度発達障害をもつ人の、養護学校時代、とりわけ高等部における教育課程、教育内容がどのようなものであったかを明らかにし、養護学校高等部教育内容が、労働や生活、仲間等への志向性や関係性等のQOLにかかわる能力とどのように関係しているか検討した。(3)重度発達障害をもつ生徒への各養護学校高等部における作業学習の位置づけ、時間数、作業内容等を中心に教育課程を検討した。また、このような児童に対するQOLの視点からの指導や自己選択能力の育成法等、高等部教育の中でどのように具体化することが可能か、高等部教師に聞き取りやアンケートをおこなった。(4)QOLの向上という視点を重視した、作業所や施設での支援、指導に寄与する、重度発達障害をもつ人に対する発達評価システムに関する基本的な問題を検討した。
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