14年度は学校図書館蔵書に関する判例および法律雑誌論文の網羅的な収集につとめ、そこから学校図書館蔵書への検閲問題を中心課題とする判例や法律雑誌論文を抽出し、分析の基礎となる範囲を設定することにつとめた。以下の2つの領域に分けて研究実績を報告する。 (1)学校図書館蔵書への検閲問題を中心課題とする裁判事件を抽出し、本研究の基礎となる事例の確定を行った。またそうした事例の読み込みと分析にも部分的に着手している。そこでは例えば以下のような大きな流れを見いだすことができた。 a.学校図書館蔵書をめぐる検閲事件は1970年代に多発し、それが1982年に合衆国最高裁判所のピコ(Pico)事件判決に収斂していくこと。そののちは裁判数は少なく、1990年代後半から再び裁判が現れるが、そこではピコ事件判決にならった判決がだされていること。 b.そうした判決をみると、大きく教育委員会の裁量権を重視する型と生徒の知る権利を重視する型とに大別できること。 (2)法律雑誌(Law Journal)でも幅広く学校図書館蔵書に関する文献の収集を行い、そのなかから学校図書館蔵書への検閲問題に関する雑誌論文を確定した。現在はそうした文献の読み込みの段階である。
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