本研究は、これまで過去十年余にわたって取り組んできた、学校を中心とした「学習空間」に関する基礎研究で得られた理論的な成果と、同課題にかかわる映像収集分析実績をふまえ、学習環境の変化を実証的に比較分析することにより、学習環境の在り方の規定する指標を動態的に把握して、一連の研究の収斂を図ることをねらいとしている。 この趣旨に即し、2年間にわたり、以下の方法、手順により取り組みを行った。 1 既収録校を対象として、既存映像資料の点検、整理 前回収録以来、一定年数を経過している、学校および地域映像について、既存映像資料を総点検し、必要に応じて補習版、再構成版を制作した 2 再収録の実施 過去10年間で収録の対象とした学校、地域から数件を選び、学校運動会・体育大会、合唱関連行事について、過去の収録諸条件を再現して撮影した 3 収録素材映像の整理と編集 これまで蓄積してきた技法を駆使し、素材の整理と編集を行う。主要場面(キーシーン)のCRVディスクへの整理保存についても、過去の例を踏襲して処理した 4 過去の編集映像との比較分析と「総合編集版」の制作 既存映像(ベータカム版)およびディスク(静止画像)と、再収録の映像を繰り返し比較分析し、学習環境規定要因の分析枠ごとにデータ化(カード作成を経てコンピュータ入力へ)するとともに、新たな視点から、のべ25編の「総合編集版」を制作した。 なお、本研究の成果は、すべてビデオ記録によりまとめ、文書、写真記録とともに、広く研究者、関心をもつ実践者などに公開する体勢を整えてある。
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