平成14年度の研究実績は以下の通りである。 第一に、平成14年5月26日、全国地方教育史学会大会シンポジウムにおいて報告した。テーマは「地域と寺子屋」で、寺子屋に関する学会での研究動向を整理し、あわせて筆者がフィールドとしている伊勢国及び志摩国の寺子屋の実態について事例報告をした。この内容は平成13年12月15日、同全国地方教育史学会の公開研究会での報告「寺子屋再考-地域の特性との関連において-」に連続しておこなったものである。 第二に、近世奈良町の宗門帳をもとに「近世奈良町の人口・家族と子どもの文字学習」として論文にまとめた。本論文は千葉昌弘・梅村佳代編著『地域の教育史』(川島書店、平成15年4月発刊予定)に掲載予定であるが現在初校終了して入校中である。 第三に平成14年10月1日、単著『近代民衆の手習いと往来物』(梓出版社、291頁)を発刊した。近世志摩国寺子屋の事例研究と大和国の往来物を分析したものである。 第四に、近世奈良町の子どもの文字学習テキスト・往来物をもとに文字学習内容と順序方法等を検討して「研究ノート 近世社会の子どもの文字学習過程の検討-奈良教育大学所蔵・新村家寄贈史料をもとにして-」(『奈良教育史研究』8号)としてまとめた。 第五に、近世奈良町の分析内容を研究会で2回報告した。伊賀国名張町中村家寺子屋の門人帳も数回の調査により入手できた。
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