研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本における優生学(その思想と運動)の障害者教育・福祉への影響とその優生思想を批判・克服しようとする思想的営為の遣産を解明することを目的とするものである。具体的な研究内容は、下記のとおりである。1)「大日本優生会」の実証的解明をとおして日本における優生運動の成立過程を明らかし、その研究成果をふまえた独自の日本優生運動史像の概略を示した。(→第1・2章)2)障害者問題関係4分野(医学・心理学・教育・社会事業)への優生学の影響を、各分野の雑誌掲載の優生学論文を手がかりにして、その特徴を明らかにした。(→第3章)3)障害者教育・福祉分野への優生学の具体的影響の現れを、先駆的な知的障害者施設経営者(石井亮一、岩崎佐一、川田貞治郎、三田谷啓、久保寺保久、等)に注月して解明するとともに、知的障害(当時「精神薄弱」)者の断種(優生手術)の実態と諸議論について整理・検討した。(→第4章)4)最後に、障害者教育・福祉分野で優生学の影響を受けつつも、それを相対化し、批判・克服していく志向性を有した人物(吉田圭)の思想的遺産を整理・検討した。(→第5章)5)末尾に、資料編として、上記2)の4分野の優生学資料の目録や年表等を付した。
すべて 2002
すべて 雑誌論文 (2件)
長崎大学教育学部紀要-教育科学- 63
ページ: 15-26
Bulletin of Faculty of Education, Nagasaki University : Educational Science 63
ページ: 15-29