旧制中等学校の定期試験と進級制度に関して、中学校と実業学校に焦点をを絞り、各中等学校の進級規定とその運用実態の異同を比較検討することを行なった。それにより、それぞれの特質をより浮きぼりにすることを目ざした。これまでの専門領域との関係で、主に斉藤が中学校、井澤が実業学校の資料収集を分担し、分析を進めた。 まずは、府県教育史や県史資料室所蔵文書等を調査し、府県レベルの「中学校規則」「実業学校規則」等における定期試験と進級制度に関する規則を収集・分析した。 次に、定期試験や進級制度に関する具体的な態様は、各中等学校の「学則」「校規〕「内規」レベルの規定を分析することを行なった。その手がかりとして、『学校要覧』『学校一覧』『学校年報』等の各中等学校で編纂された刊行物を収集した。例えば、『山口県立山口中学校一覧 明治三十三年六月調』、『山口県立徳山中学校一覧 自明治三十八年至明治三十九年』、『大分県立杵築中学校一覧 明治四十四年八月』、『福井県立大野中学校一覧 明治四十三年三月』、石川県立金沢第一中学校『石川県立金沢第一中学校一覧』(一九一〇年、一九一一年、一一九一五年)、石川県立金沢第二中学校『石川県立金沢第二中学校一覧』(一九一一年)、茨城県立竜ケ崎中学校『茨城県立竜ケ崎中学校一覧』(一九〇八年)等を分析し、また実業学校では、滋賀県商業学校規則(明治19年)、市立高岡商業学校規則(明治42年)、市立神港商業学校一覧(大正7年)、市立下関商業学校(明治35年)、大阪市立東商業学校一覧(大正13年)、福岡県立福岡工業学校一覧(明治35年)、福岡県立小倉工業学校一覧(明治36年)、県立秋田工業学校一覧(明治40年)、東京府立職工学校一覧(明治41年)等を収集し、それらを比較検討し、類型や特質を抽出していくことを行なった。
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