本科学研究費補助金を受けた研究課題「戦後日本の高度経済成長過程における教育計画策定過程に関する研究」に関して第2年度目にあたる平成15年度においては、元東京大学教授で経済審議会専門委員でもあった清水義弘氏の手元に集積されている当時の教育計画策定にかかわる約1千数百アイテムにのぼる配布資料のデータベース化に本格的にとりくんだ。それらは諸資料は、経済企画庁、文部省、労働省、科学技術庁、などの関係省庁ごとに整理をすすめつつある。また「すべての者に中等教育を」の課題が日本ではどのように推進されたのかの問題意識から、この時代の勤労青少年問題への取り組み、働きながら学ぶ教育機関としての技能連携校についての歴史的文献調査、さらに全国総合開発計画と関連する地域社会の変貌からくる高校進学率の上昇、職業訓練制度の変化、企業内教育の変化、等々といった問題に上記資料を踏まえて研究的に取り組んだ。しかし「すべての者に中等教育を」の課題は、日本では歴史的にはすでに戦時中に提案はされていたのであるが、ある日本教育史的考察によると明治維新期の学制以来の日本の学校制度の作り方から考え直さねばならぬ問題を含んでおり、本研究をどう纏めるかの方向性との関連ではいまだ決着をつきかねる問題として残されているのが現状である。次年度にはこのあたりのことに集中的に考察を加え、なんとかこの時代における「すべての者に中等教育を」の推進状況について評価を加えることに成功できればと考えている。
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