本年度は研究期間の最終年度であり、報告書をまとめなければならない年度となった。一通りの整理をした清水義弘元東大教授の手元に集積された高度経済成長下における教育計画策定過程にかかわる審議会配布資料のさらなる分類と整理は今後の課題として残る。研究代表者大淀による戦前科学技術動員に関する研究から、戦後における文部省と科学技術庁の並立そして2001年より両者合体されて文部科学省となることの意義が明らかにされた。国民所得倍増計画に盛り込まれた人的能力の向上と科学技術の振興ということが、あらたな段階へと進むことになったのである。かつての教育計画の問題もこうした文部省と科学技術庁の時代から文部科学省の時代への変遷のなかでその意義を明らかにしなければならないことが課題となってきた。また政府の教育計画とは違う方向へ国民の教育要求が展開したことをどう把握すべきかも研究課題として出てきた。さらに現在高度経済成長下にある中国での国民の教育要求の方向なども日本のかつてのそれと比較すべき興味ある研究課題である。これらの諸問題が研究成果報告書にまとめられるはずである。
|