本年度は、当初計画通り初年度、国内およびドイツ、オーストリアで収集した資料を中心に整理分析を進めた。また、9月には初年度に計画していたが実施できなかったドイツ連邦職業教育研究所のFeller女史との面談も行った。ドイツにおける学校型職業教育研究の第一人者である女史との意見交換は、今後の研究にとって示唆の多いものであった。その際、女史の紹介で、Rheinland-Pfalz州のAhrweiler職業専門学校を訪問視察し、現場の資料を多数入手できた。また、昨年に引き続き、ウィーン経済大学のSchneider教授を訪ね、聞き取りを行った。 これらの資料分析および外国出張の結果得られた知見は、1)製造業の相対的比重の低下と、いわゆる第3次産業の増加を中心とする産業構造の変化に伴って、従来製造業を中心としていたデュアルシステムの相対的な地位が低下しつつありこと。 2)対人サービスを中心とするサービス産業の発展に伴い、これまでデュアルシステムがカバーしてこなかった領域で職業専門学校等の学校型職業教育が量的に伸びてきていること。 3)また、質的にもデュアルシステムよりも体系的理論的な教育訓練の必要性が高まってきており、学校型職業教育・訓練がこの要求に応えていること、の3点である。
|