研究概要 |
本研究は中国における国際水準大学形成政策がいかなる構造と機能となっているかについて、1990年代以後中国で実施されてきた一連の高等教育政策を総合的に分析することがねらいである。平成14年の初年度では北京大学と清華大学の二つの大学について、主に政府の高等教育傾斜政策と大学の財政運営について、継続的にインタービューを行った。そこで見られたのは国際水準大学形成政策を、組織的に、財政的に、そして、人材登用と教育の実績に結びつく財源の配分であった。大学の人員ポスト手当は9段階に設定され、教育研究者、行政人員の二つのラインで、教育研究活動、管理行政活動の実績にそって、配分された。評価の方法はそれぞれの活動を点数化し、その総合得点と職階と併せて評価し、定員設定を行った。その評価の方針と方法とプロセスについて、シンポジウムII「中国における大学教育評価」大学教育学会2000年度課題研究集会(2002.12.1)で、研究発表を行った。 また経済の市場化、高等教育の大衆化過程における中国の一流大学づくり政策、方策が実施される中、中国の高等教育がさまざまな矛盾も直面している。高等教育の大衆化と市場原理の導入に伴う高等教育の高度化、質的向上について、「改革開放政策と高等教育政策」苑 復傑『現代の高等教育IDE』「変貌する中国の高等教育」No.441,2002.8,pp.11-16の論文を執筆した。そこで、高等教育の政策と実践に関する構造分析とその問題点を指摘し、日本との比較を通して、その変化の趨勢と展望を行った。
|