本研究は、1991年の大学設置基準の大綱化によって一般教育と専門教育の科目区分が廃止されたことが、わが国の高等教育にどのような影響を及ぼしたのかを、とくに、教員編成の視点から明らかにしようとするものである。この研究は、戦後の新制大学とともに出発した一般教育に対して、大学が、カリキュラム上、組織編制上、どのような処遇をしたか、そして、そうした処遇を支えた理念はどのようなものであったかを探り、そこからわが国高等教育における教養教育の存在形態を考察することを目的としている。 本年度は、国内4年制大学の学部を対象に、学士課程カリキュラムの編成実態のここ10年間の変化、それに関する教員組織の変化、また、学士課程のカリキュラムの編成方針や今後の課題などに関するアンケート調査を2003年10月に実施した。回収率は約50%であり、アンケート調査としては比較的高い回収率であり、わが国の大学が学士課程カリキュラムに対する関心の高さをみることができる。 データ入力、データ・クリーニングを経て、基礎集計を行っている段階であるが、学士課程124単位を専門科目と旧来の一般教育に相当する部分とにどのように振り分けているかに関しては、専門科目の比重が高くなっていること、一般教育相当科目が、ディシプリンに基づく個別科目が少なくなり、テーマ別科目・総合科目などが増加していることが明らかにみてとれる。 来年度は、より詳細な分析を実施し、学会発表を行い、報告書を取りまとめる。
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