本年度は、昨年度実施した全国の4年制大学の学部対象のアンケート調査の分析を主に行った。得られた主な知見は、以下のとおりである。1.大綱化以降、全体として専門教育の比重が高くなっている、2.しかし、学部の専門領域による違いが大きく、理工系や医療系などは専門教育化をすすめ、文系は学際化という名目で多様化をすすめ、必ずしも専門教育化にはむかっていない。3.教養教育はスキル習得科目や大学への適応支援の科目が増加している。4.大綱化の引き金になった一般教育担当教員の問題はほぼ解消され、全学体制で教養教育が実施されるようになっているが、他方で、教員の負担感は増大し教養教育が機能しなくなったという問題も生じている。 これらの分析結果を、以下の形態で発表した。 1.学会発表 ・吉田 文・杉谷祐美子「教養の専門化か、専門の教養化か-学士課程カリキュラムの編成状況」、日本高等教育学会第7回大会、国学院大学、2004年7月24〜25日 ・吉田 文・杉谷祐美子「教養改革の軌跡-担当組織との関連で-」日本教育社会学会第56回大会、東北大学、2004年9月11〜12日 2.新聞への寄稿 ・吉田 文「学士課程カリキュラムの編成状況:教養の専門化か、専門の教養化か」教育学術新、2004年8月25日 ・吉田 文「カリキュラム自由化後の大学」日本経済新聞、2004年10月9日 3.学会誌への投稿 ・吉田 文「アメリカの学士課程カリキュラムの構造と機能□日本との比較分析の視点から□」『高等教育研究』第8集、2005年5月、pp.69-92. 4.報告書の執筆、印刷 ・吉田 文『大学の教養教育への圧力と教員編成に関する研究-大綱化から10年を対象にして-:平成14〜16年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書』
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