研究課題/領域番号 |
14510330
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
松岡 悦子 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10183948)
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研究分担者 |
加納 尚美 茨城県立医療大学, 助教授 (40202858)
正高 信男 京都大学, 霊長類究所, 教授 (60192746)
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キーワード | 妊娠・出産 / マタニティーブルー / 育児 / 母親 / 母子関係 / 産後鬱病 / 通過儀礼 / 女性 |
研究概要 |
本年度も昨年度に引き続き、マタニティーブルーと出産および育児を取りまく文化的コンテクストとの関係に焦点を当てた質問紙を用いて、産後の女性に聞き取りと質問紙調査を行った。 先進国で高頻度に見られるマタニティーブルーは、生き物としての人間の出産と文化的存在としての人間の出産の齟齬を端的に示す例と言える。つまり、先進国の病院出産で15-80%の割合で発現するとされるマタニティーブルーは、人間以外のほ乳類には見られない、人間特有の出産を取りまく文化的環境が生み出したものと言える。 調査は2つの部分からなり、1回目は産後3-7日目の女性に質問紙に基づいた聞き取りを行い、2回目は産後6週目に質問紙を郵送した。調査対象は、日本では病院出産した女性120名、助産所出産した女性120名である。また、マタニティーブルーは、日本では約25パーセントの女性に見られるとされているが、インドネシアの村落ではそのような症状は観察されていない。そこで、インドネシアと日本のリプロダクションを取りまく文化を比較し、それがマタニティーブルーの発生にどのように影響しているかを見るために、インドネシアのスラウェシ島とジャワ島で、日本と同じ条件で調査をおこなった。人数は助産所(Puskesmasと呼ばれる保健センター)で出産した女性25名、と病院で出産した女性25名である。調査は現地の助手がインドネシア語で聞き取りを行った。 また、ドイツでも同じ質問紙を用いて調査が行われている。その経過について、学術振興会の短期派遣でドイツに行き、ドイツの研究者と会合を行った。今年度は調査データを収集する段階であり、まだデータの分析には至っていない。データ処理と分析は、来年度以降になる予定である。 来年度には、ドイツと日本の研究者が集まって、データを比較検討する会合を持つ予定である。
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