研究概要 |
平成15年度で行った研究は、一年次で実施した研究の継続と発展を行った。その概要は、歴史的資料の収集と整備、対象地の高齢アメリカ人の現在の生活実態と過去の経験の聞き取り調査である。以下で少し詳しく方法論的に三分類して述べる。 1.米国センサス原簿のデータベース化。平成14年度に引き続き、マイクロフィルム化された米国センサス原簿をコンピュータでデータベース化するために、マイクロフィルムからのプリントアウトと補助員によるコンピュータ入力を行った。その結果、必要とするウィスコンシン州の当該タウンと周辺の三つの農場地域の1920年(17,000名)及び1930年(19,000名)のデータベースが完成し、大恐慌時代に高齢者が中規模都市で町ぐるみで収容されている実態、とそのエスニシティによる違いを示唆する資料を得た。また、対照点となるハワイ州ヒロ市の1910年(9,000名)、1920(13,400名)年及び1930年(17,800名)のデータベース化が完成し、ヨーロッパ系移民高齢者とアジア系移民高齢者の自立過程の分析を準備を整えることができた。 2.対象地域での現地フィールド調査。二つの対象地のうち平成15年度は、ハワイ州ヒロ市において9月に、現地で生活する主に日系二世高齢者の約30名から現在及び過去の生活の経験について話を聞き、そのうち10名ほどからライフヒストリーを収集した。これまでの日系二世のイメージとは異なる多様な経験と生活実態を理解できた。 3.高齢者の生活変容と自立過程の解明のため、国会図書館、日本ハワイ移民資料舘(山口県)、和歌山市民図書館、東京大学アメリカ太平洋地域研究センター、ハワイ大学ヒロ校図書館、ハワイ公立図書館で歴史資料の探査を行い、直接的資料を得ることは容易でなく、高齢者の氏名や写真を含む間接的資料を蓄積することができた。
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