本研究は、「アジアブーム」「アジアン雑貨」などの言葉が雑誌を中心とするメディアや広告、インターネットを通じて広く普及し、実際に東南アジア各国をはじめとするアジア地域の手工芸品輸入が急速に拡大してきた現代日本の状況を踏まえ、インドネシアで生産される伝統的な染織の流通・消費の現場を文化人類学および消費文化研究の視点から分析することを目的とした。 科学研究費補助金の交付期間内に行った調査・研究の内容は以下のようにまとめることができる。 1.女性誌・インテリア誌を中心とする日本国内の雑誌媒体における「アジアン雑貨」「アジアの布」特集記事の検索・収集・分析 2.インドネシア国内の女性誌における伝統染織の表象分析 3.国内におけるインドネシアおよび他のアジア諸国産伝統染織の流通ルート・販売形態にかんする調査 4.上記1〜3の調査成果を、消費文化研究および文化人類学的物質文化研究の範囲において収集した各種の先行研究と照らし合わせた分析 以上の内容については、学会・研究会等での口頭発表および下記のリストにあるような形で発表の機会を得た。しかしながら、本研究課題は、幅広い主題を含みこむテーマであったこと、調査・研究の過程で収集した資料が結果として膨大なものになったことから、今後も引き続き、さらに絞り込んだ主題に即した分析が必要である。
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