今年は、下記のことをめぐって、上記の題目に関する研究を行いました。 第一に、最終年度であるので、今まで行ってきた調査の補充調査を実施しました。2004年8月30日〜9月5日に湖南省常徳地域へ赴き、資料収集や、聞き取りなどを行いました。 第二に、3年間の調査データを用いて、細菌戦被害をめぐる一連の出来事を検証しながら、細菌戦に関する戦争記憶の状況を整理しました。 具体的には、中華民国や地方政府の会議記録や報告書、回章などの公文書、軍部の電報、医療関係者の文章などの史料、また、現地細菌戦被害調査委員会が整理した被害者名簿などの資料を参考しながら、聞き取り調査の記録や、被害を受けた本人や遺族が書いた陳述書などのオーラルヒストリーを整理しました。 第三に、研究報告書を構想しました。報告書は、下記の7章で構成します。 第一章 民衆の記憶を「歴史」にする 第二章 常徳という地域 第三章 記憶にある細菌戦被害 第四章 命を全うしようとする文化の悲哀 第五章 ペスト発生後国民政府の対応と民衆社会 第六章 細菌戦被害のその後 第七章 被害記憶の保存 報告書は、今、作成している最中ですが、本として出版することを念頭におきながら最終修正をしております。
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