鎌倉・室町時代の地方寺社の存在形態を、地域支配者たる武士との関連を調査した。下野宇都宮社・那須社・今宮社や応願時・同慶寺、信濃諏訪社、上野板鼻社、武蔵府中八幡社など、現地調査を実施し、地域社会における位置や祭礼のあり方を考察した。とくに、して、神宮寺を建立し、その供僧を支配下に置くなどして、宇都宮宇都宮社については、宇都宮朝綱が社務職に就き、一切経会を実施社を中世的に転換しながら、掌握していく過程が判明した。また朝綱は京都での活動も盛んで、法然門下に入り、浄土信仰にも積極的になる。宇都宮氏と同盟関係に入る芳賀氏も同慶寺や今宮社に関与して行くが、宇都宮社との関係を深めて行く過程とそうていされる。那須氏は宇都宮祭礼に参加するようになり、宇都宮氏とつながり、阿弥陀信仰を受容するようになる。このように武士としての政治的台頭と寺社関与は密接に関連している。
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