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2002 年度 実績報告書

近世門前町、宇治・山田の社会構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510355
研究機関三重大学

研究代表者

塚本 明  三重大学, 人文学部, 助教授 (40217279)

キーワード宇治・山田 / 三方・会合 / 伊勢神宮 / 山田奉行 / 被差別民 / 触穢 / 禁忌 / 別火
研究概要

近世の宇治・山田の社会構造を考える上で、伊勢神宮の触穢観念が、地域社会にいかなる影響を与えたのかを検討することが不可欠である。今年度は、被差別民と接触した場合の禁忌について検討した。分析史料は、主として神宮文庫所蔵の「神宮編年記」(神宮長官日記)を用い、「宇治山田市史資料」、「大神宮故事類纂」等も参考にした。得られた知見は以下の通り。
法令上の原則では、被差別民との接触は厳しく忌まれていた。だが実際には諸国からの被差別民の参宮は活発に行われている。犯罪者の捕縛などにより、山田奉行所の吟味のなかで被差別民の宇治・山田における宿泊・飲食が発覚すると、神宮から同火の禁忌を定めた触穢規定が出されるのである。こうした事例は、江戸時代を通してわずか6例に過ぎない。神宮も宇治・山田を管轄した三方・会合も、触穢規定の発令には消極的で、極力穏便に済ませようとしている。三方・会合の主要な構成員たる御師(下級神官)らは、諸国からの被差別民の参宮を知りつつ、そして建前上はこれを禁じつつ、実際には黙認していた。
さて伊勢神宮は、被差別民を「肉食」するが故の穢れととらえ、彼らとの接触について、中世以来の肉食の穢れ規定を適用した。神宮の触穢体系において、身分的「存在」としての穢れ意識は認められず、誰もが罹りうる、そして一定の期間を経れば解消する「状態」としての穢れの観念があるに過ぎなかったのである。
なお以上の検討と並行して、内閣文庫、国立国会図書館、伊勢市立図書館等で、関係する資料の閲覧・収集を行い、近世の宇治・山田地域における触穢関係記事データベースの作成作業を進めた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 塚本 明: "近世の宇治・山田における被差別民禁忌について"人文論叢(三重大学人文学部文化学科). 10. 9-25 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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