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2004 年度 実績報告書

近世門前町、宇治・山田の社会構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510355
研究機関三重大学

研究代表者

塚本 明  三重大学, 人文学部, 助教授 (40217279)

キーワード宇治・山田 / 拝田・牛谷 / 非人 / 伊勢神宮 / 触穢 / 三方会合 / 道中日記 / 異国人問題
研究概要

近世の伊勢神宮門前町、宇治・山田に居住する非人集団である拝田・牛谷について、参宮客、住民組織の三方会合・宇治会合、山田奉行などとの組織的な関係や経済的基盤、果たした役割、そして彼らが受けた社会的差別の内容と時期的な変化を考察した。また、幕末期に被差別民や仏教徒と同様の忌避された異国人問題について、近代への移行を射程にいれて検討した。分析にあたっては、主として神宮文庫所蔵の「神宮編年記」(神宮長官日記)、「大神宮故事類纂」、伊勢市立図書館架蔵「宇治山田市史史料」を用い、国会図書館、内閣文庫で収集した史料も参考とした。加えて、諸国から訪れた参宮客が記した道中日記類を活用することで、分析を深めることができた。得られた知見は以下の通り。
拝田・牛谷の民は、芸能民・宗教者としての側面も持つが、基本的属性は非人集団である。諸国から訪れる参宮客から施される「蒔銭」が重要な経済的基盤であるが、それは宇治・山田社会の中核をなす御師集団と拝田・牛谷の間で制度的に仕組まれたものでもあった。彼らは山田奉行の下で下級警察役を担い、また宇治・山田においては、住民が死穢を忌避するための社会的役割を負わされていた。それゆえに彼らは社会的差別を受けるが、特に一八世紀半ば以降に、経済的豊かさを背景に地位を上昇させる拝田・牛谷の民を、差別を制度化して統制しようとする動きが、三方会合・宇治会合によって進められる。
さて幕末期に異国船が紀伊半島に接近してきた時、宇治・山田世界では異国人との接触を拒絶した。だが当初はさほど強いものではなく、またそれは拝田・牛谷ら被差別民や仏教徒らと同様に、神社本来の触穢体系に拠るもので、朝廷の異国人排除の論理とは異なっている。だが朝廷側の強い働き掛けと、異国人の上陸が現実的な恐怖となるに従い、次第に激しい拒絶意識が根付いていく。これは明治維新後の意識をも規定していくことになる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 拝田・牛谷の民-近世宇治・山田の被差別民2005

    • 著者名/発表者名
      塚本 明
    • 雑誌名

      人文論叢(三重大学) 22

  • [雑誌論文] 幕末異国人情報と伊勢神宮2005

    • 著者名/発表者名
      塚本 明
    • 雑誌名

      明治維新期の政治文化(佐々木克編)(思文閣出版)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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