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2004 年度 実績報告書

中世寺院の暴力とその正当化

研究課題

研究課題/領域番号 14510359
研究機関大阪大学

研究代表者

平 雅行  大阪大学, 文学研究科, 教授 (10171399)

キーワード兵杖禁止令 / 顕密寺院 / 禅宗寺院 / 軍勢催促 / 南北朝内乱 / 検断権 / 僧兵 / 延暦寺
研究概要

最終年度であるため、研究の総括の意味をこめて、寺院の武力に対する世俗権力の姿勢の変化について検討を行い、次の事実を明らかにした。
(1)平安・鎌倉時代に俗権力は寺院の兵杖禁止令を盛んに発布したが、これは武装解除命令ではない。一般領主と同様、寺院にも検断権が認められていた。つまり俗権力は、寺院が警察的武力を保持することは容認していたが、過剰な軍事増強を牽制するために兵杖禁止令を発布していた。これは、古代とも近世とも異なる中世独特の対応である。
(2)南北朝期は俗権力がこぞって寺院に軍勢催促をしたため、武門専業の僧侶が登揚するなど寺院の軍事化が急速に進んだ。俗権力は「僧侶は武装すべきでない」という僧徒非武装説を放棄し、兵杖禁止令は消滅した。他方、寺院の中には僧徒非武装説を前面に押し出して、きびしい軍勢催促から逃れようとした。
(3)南北朝内乱は顕密寺院への兵杖禁止令を消滅させたが、逆に禅宗寺院に対する兵杖禁止令がこの時期から登場する。禅宗寺院に特徴的なことは、顕密寺院とは異なり、幕府が直接寺内に踏み込んで兵杖を取り締まった事実である。禅宗寺院は寺内運営や人事・検断・所領経営など多方面にわたって幕府に依存していた。そのため、幕府の直接介入が可能であったし、幕府も平和領域として禅宗寺院を維持しようとした。
また、論文「青蓮院の門跡相論と鎌倉幕府」を執筆して、延暦寺内の武力紛争に対する鎌倉幕府の政策の変化を明らかにした。論文「神仏と中世文化」では、中世で展開した宗教的暴力の具体相に触れた。いずれも、本研究の成果の一部である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 中世寺院の暴力とその正当化2005

    • 著者名/発表者名
      平雅行
    • 雑誌名

      九州史学 (in press)

  • [雑誌論文] 青蓮院の門跡相論と鎌倉幕府2004

    • 著者名/発表者名
      平雅行
    • 雑誌名

      延暦寺と中世社会(法蔵館)

      ページ: 90-150

  • [雑誌論文] 神仏と中世文化2004

    • 著者名/発表者名
      平雅行
    • 雑誌名

      日本史講座 第4巻 中世社会の構造(東京大学出版会)

      ページ: 167-195

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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