研究課題/領域番号 |
14510362
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
勝部 眞人 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (10136012)
|
研究分担者 |
濱田 敏彦 広島経済大学, 経済学部, 助教授 (80330653)
相良 英輔 島根大学, 教育学部, 教授 (70124071)
頼 祺一 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50033494)
|
キーワード | 出雲大社 / 海運業 / 町支配 / 文明開化 / 情報ネットワーク / 地域経済 |
研究概要 |
本研究は、これまでほとんど明らかにされてこなかった幕末維新期における島根県大社地域の歴史的特質を、同地域の藤間家文書を中心にしながら、同家の海運業・町支配のあり方、産業・経済基盤ないし名望家間の情報ネットワークの点から解明していこうとするものである。 本年度においては、文書調査の大方のめどをつけるべく尽力し、概ねその目的を達したと言える。ただし、同家文書はいわゆる一紙物が多く、そのため目録作成作業も予想以上に時間を要することから、いくつかの箱に入った一紙文書はそのまま手つかずとなってしまった。 いっぽう同家文書の解読により、少しずつ興味深い歴史的側面が浮き彫りになりつつある。なかでも、大社参詣と同地域の経済構造との関係が見えてきたことはかなり大きな収穫であった。 すなわち近世後半以降、春秋二季の祭礼には、中四国や九州、さらに京阪神等から数万とも言われる参詣客が集まったことで、大社地域の下層町人に至るまで諸商売・宿商売が活発化していったのである。その大きな要因は、祭礼で行われる富興行であった。 しかし、明治元年末維新政府が富興行禁止の措置をとったことから参詣客は激減し、翌年下層民への救恤であった養米の払底という事態も重なって騒動まで勃発することになる。こうした不穏な状況下において、藤間家をはじめ地域リーダー層は、新政府の「開化の御主意」を体現しつつ地域秩序の安定に奔走せねばならなかったのである。
|